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- 『21世紀・日本再生論』(2015・12)-24 人口減少社会という新しい時代の中で
- 『21世紀・日本再生論』(2015・12)-23 地域主権型道州制」の実現は、大阪から
【緊急対談】vs村井嘉浩(宮城県知事)

【緊急対談】vs村井嘉浩(宮城県知事)
「樽床伸二は、新しい流れ、政界再編のキーパーソン!」
樽床: ご無沙汰です。村井さんの宮城県知事としての活躍は、明星高校のOBとして、大きな誇りです。
村井: いやいや、先輩こそ。今は、充電期間ですが、これまでも、これからも後輩としての目標です。
樽床: ヨイショ合戦は、これくらいで(笑)。
復興は、政治家としての天命
樽床: 東日本大震災から今日まで、大変な日々だったと思います。
私は震災発生直後に現地に入りましたが、その現状を見て声が出ませんでした。関西では、かつて阪神淡路大震災を経験しています。あの時も悲惨な状況にア然としたことを覚えていますが、東北での想像の域をはるかに超えた惨状はいまだに脳裡を離れません。
村井: 東日本大震災の復興を成し遂げることが政治家としての天命だと思っています。最後まで責任を持って歩みを進めたいと決意しています。
当時を振り返ると、怒涛のように時間が流れていきました。政権政党の責任者、その後の総務大臣と、先輩には大変お世話になりました。
樽床: 今年の夏に「記録的大雨情報」は全国で79回(過去最多)出されました(8月31日現在)。日本は、地震、台風等など、自然災害が多い国です。昨年も、熊本で地震が発生し、大きな被害が出ました。また、台風による災害は毎年のように発生しています。私たちにとって、自然災害は他人事ではなく、いつでもどこでも発生すると考えて、対策をしていかねばなりません。
村井: 「高台移転」や「多重防御」といった「宮城モデル」を震災直後から提案し、実行しました。これは、「防潮堤」(ハード)で津波を防ぐという考えから、「逃げる」(ハード ソフト)で命を守るという発想の大転換でした。
樽床: 総務大臣の時、その「高台移転」に対して、思い切った予算をつけるように指示したことを覚えています。(政権交代後に予算成立)
村井: とにもかくにも、大きな教訓を踏まえ、後世の人たちに「安心、安全」な国を残していくことが、犠牲になられた方々の御霊に報いることであり、この時に知事をさせていただいている私の「未来への責任」です。
地域主権の確立を目指して!
樽床: 私たちは、松下政経塾で、「地域から日本を変える」を合言葉に、地域主権の確立という目標を共有しました。
村井: そうです。私は「道州制」の実現を大きな目標とし、道州制を推進する首長連合の共同代表をしています。もう一人の代表は、浜松市長の鈴木康友(松下政経塾1期生)先輩です。
樽床: 私も、平成2年の衆議院選挙初挑戦の時、「連邦国家・日本」を創ると訴えました。
村井: 私は自衛官時代、ヘリコプターのパイロットでした。航空機を操縦する際はできるだけ遠くに遠方目標を求めます。そうすることによって風によって流されたり、地形を見間違っても軸線から外れることなく目標に到達できるのです。遠方目標を求めるということは航空機の操縦に限らず、国家経営を行う場合でも必要です。
私たちの目標は、まだまだ道半ばですが、ようやく多くの方の理解も深まり、これからが本番の時を迎えているように感じます。
樽床: 東京の中央政府がすべてのことを決めるという中央集権体制は、発展途上の段階にふさわしい国のあり方です。成熟社会に突入した今の日本では、もはや機能不全に陥っています。
北朝鮮のミサイル発射、核実験が続いていますが、国家は、外交、安全保障など、国が対応しなければならないことに専念し、私たちの日々の暮らしに関する施策は、それぞれの地域が責任を持って実行していかねばなりません。
少子高齢社会になればなおさらです。
村井: 宮城県のことは、宮城県に住み、宮城県を愛している人が、一番良く知っています。その人たちによって宮城県のことが決められ実行されていかねばならないと強く感じています。
震災からの復興に当たっても、仙台空港民営化、水産業復興特区の導入、医学部新設、水素エネルギーの普及促進など、「創造的な復興」を目指しました。
歴代総理よりも私の方が宮城県を愛し、良く知っています。(笑)
樽床: その通りです。国政に携わった経験から率直に言えば、一億人以上の人口を持つ日本、しかも地域ごとに多種多様な特色のある国土の全体を知ることは、どんな人でも不可能に近いと思います。
ちなみに、人口一億人以上の国は、先進国(サミット参加7カ国)では日本とアメリカだけですし、世界でも12カ国しかありません。
村井: 宮城県は、人口233万人で、全国14位です。この前引退した陸上競技のボルト選手のジャマイカ(272万人)や、サッカーの「ドーハの悲劇」で記憶のあるカタール(267万人)とあまり変わりません。私は県知事ですが、世界を見れば、ひとつの国を運営していると言ってもいいのではないかとさえ思います。大阪は、もちろんそうでしょう。
樽床: 大阪は、人口884万人、全国3位です。オーストリア(854万人)とスウェーデン(977万人)の間です。そして、かつて行政改革で注目されたニュージーランドは452万人、アジアの金融国家・シンガポールは560万人です。
村井: 顔の見える、手の届く、声の聞こえる人たちによって、国民生活に関する施策が行われるべきだと思います。
樽床: 成熟した国では、行政が国民のことを把握できる適正な人口規模は最大1000万人ぐらいではないかと経験的に感じています。
村井: 現場を知らない人が大きな顔をすると何事もうまくいかないのは、すべての組織や社会において同じですね。
政治の混迷、社会の閉塞感を打ち破る!
村井: 政治の混迷が深まっています。国民の皆様の政治不信が高まり、このままでは、時代の大きな転換期を乗り越えて行けないのではないかと危機感を抱きます。
樽床: 現実の中で、党利党略を100%否定するつもりはありませんが、それぞれの政党のためではなく、国家・国民のために切磋琢磨する政治の姿が必要だと思います。国民本位の政治であり、最近流行りの表現を使えば「国民ファースト」です。
村井: 東京の小池知事が、都民ファーストと言われていますが、まさに国民ファースト、県民ファーストですね。樽床先輩には、その新しい流れを中心になって作っていただきたいと思っています。
樽床: 私は、今、野に下っています。政界再編を含め、新しい流れを作っていくためには、自らの原点に戻る必要を痛感しました。昨年春、一年半前に、民進党を離党し、無所属で再スタートしました。
国政復帰を果たし、その後、猛ダッシュで目標に向けて走り続けていく決意です。
村井: 新しい流れを作っていくためには、これまでの政治の悪いところを、一度洗い流すことが、どうしても必要なステップだと思います。そのことを含め、新しい流れを作っていくためには、三つの条件があります。
樽床: 第一は、「国民ファースト」ですね。
村井: そうです。第二は、「地域の自主・自立を目指していく強い意志」です。
第三が、「過去と決別する勇気」です。
樽床伸二は、三つの条件をクリアした政治家になったのですから、新しい流れ、政界再編のキーパーソンになってもらわなければなりません。
樽床: 私一人で、事が成し遂げられるものではありません。国と自治体が心をひとつにして、協働することが日本再生のポイントです。
共に頑張りましょう。
村井: よろしくお願いいたします。