- 「平成30年度国家予算」を考える②
- 「平成30年度国家予算」を考える①
- 【緊急対談】vs村井嘉浩(宮城県知事)
- 「省エネ大国・日本」を目指して!
- 「格差の拡大」は、国を滅ぼす!
- ~「働き方改革」から20年後を展望する~
- 『21世紀・日本再生論』(2015・12)-36 政権交代と結果責任
- 『21世紀・日本再生論』(2015・12)-35 世代交代とは
- 『21世紀・日本再生論』(2015・12)-34 保守とは?
- 『21世紀・日本再生論』(2015・12)-33 消費税を、「年金・医療税」に!‐Ⅱ
- 『21世紀・日本再生論』(2015・12)-32 消費税を、「年金・医療税」に!
- 『21世紀・日本再生論』(2015・12)-31 憲法改正は加憲方式で
- 『21世紀・日本再生論』(2015・12)-30 地球温暖化問題は、未来への責任
- 『21世紀・日本再生論』(2015・12)-29 新時代のエネルギー戦略
- 『21世紀・日本再生論』(2015・12)-28 日本経済の構造は激変した‐Ⅲ
- 『21世紀・日本再生論』(2015・12)-27 日本経済の構造は激変した‐Ⅱ
- 『21世紀・日本再生論』(2015・12)-26 日本経済の構造は激変した
- 『21世紀・日本再生論』(2015・12)-25 人口減少社会という新しい時代の中Ⅱ
- 『21世紀・日本再生論』(2015・12)-24 人口減少社会という新しい時代の中で
- 『21世紀・日本再生論』(2015・12)-23 地域主権型道州制」の実現は、大阪から
『21世紀・日本再生論』(2015・12)-23 地域主権型道州制」の実現は、大阪から
『21世紀・日本再生論』(2015・12)-23
「地域主権型道州制」の実現は、大阪から!
「大阪発・道州制」への道
大阪は、かつては日本最大の経済都市でした。しかし、特に戦後は、「大阪の地盤沈下」が叫ばれ、東京一極集中への危機感を多くの人が共有し、「東の東京。西の大阪」としての復権を目指す思いを大阪の人は強く持っています。この「大阪の復権」は、ひとり大阪のためだけではなく、日本という国家のバランスある発展のためには、国家の課題と言ってもいいのです。私も、大阪選出の政治家として、「大阪の復権」は国家の重要課題だと考え、その実現に邁進していきたいと決意しています。
なぜ、大阪は地盤沈下したのか。大阪と東京の差はどこから生まれてくるのか。最大のポイントは、
①東京は首都であり、中央集権体制のもとで強い中央政府がある。
②その結果、大企業の本社が集中している。
の2点に集約できるのではないだろうか。つまり、東京の中心部は、非常に権限の強い・集中している地域であることが原因です。
ゆえに、「大阪の復権」のためには、
①中央集権体制を打破し、地域主権を確立すること。
②東京に次ぐ経済の集積を活かすために、東京発想の施策ではなく、大阪自らの発想による施策を推進すること。
③そのためには、大阪の核である大阪市を、単なる政令指定都市ではなく、大阪府から独立して、都道府県以上の権限を持つ「スーパー政令市」とすること。
が、必要となります。
その結果、大阪市は、独自の施策を強い権限を持って推進することができるのです。アジアのヘッドクォーターとしての「国際都市・大阪」の実現です。民間活力に溢れた街・大阪です。私たちの住んでいる近隣都市は、当然、通勤圏であり、経済的一体性もあり、その恩恵を受けることになります。
「大阪市=スーパー政令市」の実現と歩調を合わせれば、堺市、京都市、神戸市も、その動きに連動し、関西に四つの核が誕生します。大阪府、京都府、兵庫県は、四つの政令指定都市の独立によって財政的には厳しい状況に陥ることが予想されます。しかし、ピンチはチャンスです。関西において、府県の合併を実行し、四つのスーパー政令市を核とする関西州を創っていけばいいのです。
平成に入ってから、全国的に市町村合併が大きく進展しました。かつては3300といわれた地方自治体が、今では1700に集約されています。同じように、都道府県の合併を進めていく第一歩を、大阪からスタートするのです。そして、最終的には、全国が10の州政府によって運営される「地域主権型道州制」が確立されるのです。「強い州政府と小さくて強い中央政府」の実現です。「東京一極集中で歪んだ国家」から「バランスある国家」への転換です。
私は、かつて総務大臣の時に、全国の政令指定都市の市長会から、政令指定都市の権限強化の要望を受けました。
「私たちは、中規模の都道府県よりも人口も多く、経済規模も大きい。今や、都道府県の指導の下で行政を行うことに大きな疑問を感じている。」
といった熱い思いをお聞きしたのです。大阪が、トップランナーとして、「この国のかたち」を変えていくことができると信じています。
中央集権は、発展途上システム
明治以降、日本は中央集権によって最も成功した国家であった。国家の持てる資源(人、モノ、金)を中央政府に集中し、国全体の底上げを図ることに成功したのです。戦後の大きな躍進も、まさにその体制の結果であったと思っています。
しかし、その結果、日本は成熟段階に至り、もはや1億2000万人を超える人口を中央政府ですべてコントロールできる時代は終わったのです。それぞれの地域の現状は異なり、国全体の底上げではなく、それぞれの地域が多様化した現状にいかに独自性を持って対応していくかが問われています。
「補完性の原理」にもとづき、「国民と意思決定者の距離は近ければ近いほど、ムダ・ムリ・ムラが少なくなり、効果があがる」という視点に立った国家運営が求められています。
経済の活性化は、まさにその視点から実現しなければなりません。経済全体に占める中小零細企業のウエイトは大きく、それらはそれぞれの地域に密着したものであり、それぞれの地域は産業構造も社会の環境も異なります。それゆえに産業政策は、それぞれの地域の特性を反映したものでなければならず、地域主権はこの分野でも強く求められています。
国民生活に直結する施策は、可能な限り地方政府が責任と権限を持って推進しなければならないのです。
一方、グローバル時代において、国家には国家戦略の構築とその推進が強く求められています。中央政府はその国家戦略の推進に特化し、「小さくて強い中央政府」とならねばならないのです。国家の安全を守るための外交、安全保障、エネルギー政策、どうしても生じる地域間格差の解消、そしてマクロ経済に関する施策、さらには年金、医療、教育といった国全体で統一したシステムが必要となる施策等であります。
さらに、「努力が報われる社会」、「敗者復活が可能な社会」の実現には、施策の決定が国民により近いところで行われなければなりません。「地域主権」の根底には、そういった理念が流れているのです。私は、総務大臣就任後、速やかに「国の出先機関改革」を前進させました。それも、「地域主権」への思いからでした。
私が幼い頃、わが国は高度成長時代であり、国全体のパイが拡大することによって、人々は元気になっていきました。しかし、今は少子高齢社会に突入したのです。
「地域主権」は、“生きていくことの充実感を持てる社会づくり”なのです。
国政は、東京の発想で行われる
「百聞は一見に如かず」と言われる。私の、基本姿勢である「現地現場主義」もそこから生まれています。どんな人でも、机上で学んだことより、自分の目で見て、自分で触れてみたことに大きな影響を受けます。しかし、「逆も真なり」です。それゆえ、国政は、どうしても「東京の発想」「東京の視点」で行われてしまうのです。
なぜなら、「永田町・霞ヶ関」と言われる国政の中枢は、首都・東京にあり、そこで国政に携わっている人は、どうしても目の前にある東京の現状を見て物事を進めてしまうからです。限られた人員で、広く・多種多様な日本全体の実態を把握することは不可能であるからです。
かつてのように、日本が、発展途上にあり、全体の底上げが国家の目標であった時代にはそれでもよかった。しかし、成熟段階に入り、多種多様なニーズに対応していかなければならない時代となった今では、無理があります。国家の経済運営が、大手企業の発想で進められるのも然りであります。国の経済運営は、どうしても東京に集中している大企業の意見を聞いて実行される。そして、「東京の一人勝ち」がさらに進んでいく。「地域主権」の実現しかないのです。
しかし、成熟国家にいたったわが国において、明治維新の時の「版籍奉還」「廃藩置県」のように、一発転換は全体の崩壊に繋がりかねない。よって、段階を踏んで進めていかねばなりません。
大きな流れを示せば
①政令指定都市の都道府県からの独立
②都道府県の合併
③地域主権型道州制の確立 であります。
しかも、上からの押し付けではなく、地域からの発意で進めていくことが重要です。その、モデル地域を、「大阪発・関西州」で実現したいと思っています。