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私の主張:日々の気づきや、アイデアなどを政治・経済にかかわらず樽床伸二の考えを綴って参ります。

「平成30年度国家予算」を考える②
「平成30年度国家予算」を考える①
【緊急対談】vs村井嘉浩(宮城県知事)
「省エネ大国・日本」を目指して!
「格差の拡大」は、国を滅ぼす!
~「働き方改革」から20年後を展望する~
『21世紀・日本再生論』(2015・12)-36 政権交代と結果責任
『21世紀・日本再生論』(2015・12)-35 世代交代とは
『21世紀・日本再生論』(2015・12)-34 保守とは?
『21世紀・日本再生論』(2015・12)-33 消費税を、「年金・医療税」に!‐Ⅱ
『21世紀・日本再生論』(2015・12)-32 消費税を、「年金・医療税」に!
『21世紀・日本再生論』(2015・12)-31 憲法改正は加憲方式で
『21世紀・日本再生論』(2015・12)-30 地球温暖化問題は、未来への責任
『21世紀・日本再生論』(2015・12)-29 新時代のエネルギー戦略
『21世紀・日本再生論』(2015・12)-28 日本経済の構造は激変した‐Ⅲ
『21世紀・日本再生論』(2015・12)-27 日本経済の構造は激変した‐Ⅱ
『21世紀・日本再生論』(2015・12)-26 日本経済の構造は激変した
『21世紀・日本再生論』(2015・12)-25 人口減少社会という新しい時代の中Ⅱ
『21世紀・日本再生論』(2015・12)-24 人口減少社会という新しい時代の中で
『21世紀・日本再生論』(2015・12)-23 地域主権型道州制」の実現は、大阪から

『21世紀・日本再生論』(2015・12)-25 人口減少社会という新しい時代の中Ⅱ

『21世紀・日本再生論』(2015・12)-25

「人口減少社会」という新しい時代の中で!-Ⅱ

生涯現役社会の実現

「平均寿命・世界一」ということは素晴らしいことだということです。しかし、平均寿命が伸びたことを、「老後の期間が拡大した」と捉える傾向も見うけられます。引退後の時間が長くなったと考えることが多いかもしれません。本当にそうでしょうか。
テレビの長寿番組「サザエさん」をご存知の方は多いと思います。アニメの中での登場人物の年齢設定を見てみますと、「サザエさん」は24歳、ご主人のマスオさんは28歳、お父さんは54歳、お母さんは52歳です。現在の感覚で言えば、主人公・サザエさんの年齢はもっと高いと思えるでしょう。サザエさん、マスオさんは30代、ご両親は60~70代に見えるのではないでしょうか。特に、お父さんは54歳ですから、今の私よりも若いのです。私にすれば、いくら何でも!と感じます。どう見ても60代後半に見えるのではないでしょうか。
当然のこととして、「サザエさん」が始まった昭和20年代には登場人物は設定どおりの年齢に見えたのでしょうから、この60年の間に、私たちは15歳ぐらい若くなったということだと思います。今の65歳の人は当時の50歳ぐらいに、逆に当時の60歳は現在の75歳に相当することになります。そのことを「サザエさん」が証明していると思います。
平均寿命が伸びたことを、「老後の時間の拡大」ではなく、人生の実働時間が長くなったと考えるべきだと思っています。確かに個人差があります。しかし、それはいつの時代でも同じことです。私は、多くの60代の先輩方が大変バイタリティーに溢れ、まだまだ社会を支えていってもらえる元気を持っておられると確信しています。趣味やボランティアも大事ですが、働くことが最も素晴らしいことだと思います。一律の定年年齢で引退するのではなく、働く意思のある人は年齢に関係なく働くことができる社会。そのことが、さらに元気さを高めていく。頭の柔軟性も維持されていく。そんな「生涯現役社会」の実現を目指すべきだと考えます。大胆に言えば、「一律定年制の廃止」です。
65歳を一つの基準とする社会システムの変更です。このことは、あらゆる分野にわたる変更になりますし、一人一人の発想、人生設計にも変更をもたらします。それゆえ、一挙に転換することにはムリがあります。今後30年かけて「生涯現役社会」へ移行していかなければなりません。


 「1億の人口」は少なくない ―現在、日本の人口は世界10位

日本は人口の少ない国ではなく、むしろ多い国です。「人口1億人」は、決して少ない人口ではありません。現在、日本は世界で第10位の人口規模を誇っています。1人当たりのGNPが高い「豊かな国」と言われている国々の中で、日本より人口の多い国はアメリカのみであって、ヨーロッパの大国(英、仏、独、伊)は日本の半分程度であり、ヨーロッパの他の国においては数百万人です。(第1部でも述べた)
 G8(米・日・独・英・仏・伊・加・露)の中で、1億以上の人口を有している国は、アメリカ(3.1億人)、ロシア(1.4億人)だけです。ドイツは日本の2/3の8200万人、イギリス・フランス・イタリアは1/2以下の6000万人あまり、カナダは1/3の3500万人です。つまり、1億の人口は、中国を除く世界の主要国の中でもベスト3であることは間違いありません。さらに、現在、人口1億人を超えている国は11ヶ国しかないのです。(表・世界の人口ランキング)将来の日本の「1億人」という人口は、今よりは減ったとはいえ、まだまだ“大きな人口”なのです。将来にわたっても、ドイツ、イギリス、フランスよりも人口が多いことは変わらないのです。特に、ヨーロッパ最大の人口を有するドイツは、日本よりも出生率が低く(1.36)、日本がドイツよりも少ない人口になることはまず考えられないのです。
ゆえに、人口が1億人に減少するからと言って、やたら悲観することはありません。問題なのは、人口が増加する、つまり「拡大」にしか対応できない国家システム、社会システムを変えることができなかったことなのです。やり様はまだまだあります。ちなみに、「日本は人口が少ない国」とのイメージが悲観論を増幅していると思われます。そのイメージは、中国・インドといったアジアの国との比較からもたらされているのです。特に、中国は日本の隣国であり、日本の10倍の人口を持っています。それゆえに中国の脅威を感じることも多く、その原因が13億の人口であることによって、中国と比べて1/10の人口しかない人口の少ない国・日本と錯覚してしまうのではないでしょうか。その比較は全くナンセンスです。なぜならば、世界の人口はその2国(中国・インド)に2極集中しているからです。世界全体の人口は70億人ですから、世界の人口の約4割が中国とインドに集中しているのです。その2極集中している国を対象としていろんなことを考えていくこと自体が間違っています。さらに、人口3位は3億人の米国であり、2位のインドとは4倍の開きがあります。ゆえに、世界で3番目に人口の多い国を知っている人は非常に少ないのです。また、欧州諸国で、スウェーデンやスイスなど日本でお馴染の国は、人口1000万人以下であり、日本の都道府県と同じような人口であることは、あまりイメージされていないのです。
それゆえに私は、明治以来の日本の発展の大きな土台は、日本の「多い人口」にあったと考えています。日本の経済発展の要因は、勤勉性、江戸時代からの教育レベルの高さ、技術力の高さ等など、いろいろと語られていますが、どういうわけか「人口が多かったこと」という要因はあまりというかほとんど語られていないのです。日本と中国が10倍の人口の差があるのと同じように、日本とスウェーデンも10倍の人口差があるのです。日本とイギリスは2倍ですが、日本と20倍近い人口差がある西欧諸国は多く存在します。それゆえ、江戸時代においてもオランダは鎖国時代の中でも長崎の出島に拠点を置いて、日本から出ていこうとしなかったのです。さらにそれに先だって、16世紀の世界の大航海時代において、フランシスコ・ザビエルに代表されるキリスト教の宣教師が日本での布教に力を注いだのではないでしょうか。ともかく、現在、「中国の13億の人口が中国の発展を支えている」とわたしたちが考えているように、欧米の人々はかつて「日本の多い人口は大きな市場である」と思ったのではないでしょうか。


ピンチはチャンス!

このように、「人口減少・高齢社会」に対して悲観論に陥るのではなく、「ピンチはチャンス」と考えていきたいと思っています。結論から言えば、「2050年に人口1億人で活力ある国家・日本」を創り上げることです。これまで拡大する人口を前提として作り上げられてきた日本のシステムを、1億人の人口でも機能するシステムに30年かけてダウンサイジングすることです。ダウンサイジングは必ずしも衰退を意味するとは限りません。時代の変化に対応することなのです。ダウンサイジングは、新しい活力、時代にふさわしい活力を導き出す手段だと思っています。逆に、時代の変化に対応することができずに過去のやり方から脱却できず、「拡大」の時代のやり方を続けていくこと、つまりかつての発想を続けていくことが社会のひずみを拡大させ、衰退をもたらすのです。
「人口減少時代」は、今後80年、少なくとも50年は続くと考えられます。戦後は70年を迎えます。つまり、今後、「人口減少時代」という新しい時代、一つの大きな時代を迎えると考えて対応していかなければならないのです。それができれば、日本は世界のモデル国家として活力ある成熟した高齢社会の模範となることができるのです。
 ようやく政府も、人口1億人に下げ止めることを主要政策に位置づけ、担当大臣を設置しました。現在1.43(2013年)の出生率を1.8まで引き上げ、2060年に人口1億人を確保し、2090年(76年後)頃に人口が安定していくこと目指しています。その出生率の向上を実現するためには、直接的には子育て支援、子どもを産みやすく育てやすい環境を作ることですが、多くの分野で発想の転換を通して緩やかな変革をしていかなければなりません。しかし、現政権の発想は、そうなっていないと思わざるをえない。それゆえに、今度は、もう一度政権交代を実現し、21世紀の人口減少時代を乗り切る道筋をつけなければならないと決意しています。
特に、その前提条件としての日本経済の活性化は、日本経済の構造が激変しているという現状に基づいての発想の転換からスタートしなければならないことを付け加えておきたいと思います。


世界の人口ランキング(IMF  2012年) (単位:万人)

①中国       135,404
②インド      122,719
③アメリカ     31,418
④インドネシア   24,447
⑤ブラジル  19,836
⑥パキスタン  17,891
⑦ナイジェリア  16,475
⑧バングラデシュ 15,427
⑨ロシア  14,192
⑩日本   12,761
⑪メキシコ 11,706
⑫フィリピン 9,580
⑬ベトナム 8,876
⑭エチオピア 8,677
⑮エジプト 8,250
⑯ドイツ 8,192
⑰イラン 7,612
⑱トルコ 7,489
⑲コンゴ 7,475
⑳タイ 6,789
21ミャンマー    6,367
22フランス    6,341
23イギリス    6,324
24イタリア    6,082
26 韓国    5,000
28 スペイン     4,616
36 カナダ    3,483
43 マレーシア    2,946
50 台湾   2,332
51オーストラリア   2,291
61オランダ   1,675
65カンボジア 1,525
71 ギリシャ 1,129
85スウェーデン 956
91スイス   800
97 香港 718
100 ラオス 665
110 デンマー  558
111 フィンラン  543
113 シンガポール 531
114 ノルウェー 504
119 ニュージーランド 444
134 モンゴル 283    



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