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『21世紀・日本再生論』(2015・12)-32 消費税を、「年金・医療税」に!
『21世紀・日本再生論』(2015・12)-32
消費税を、「年金・医療税」に!
安定した医療・年金・介護システムの構築
高齢社会の、最低限のセーフティーネットは、年金・医療・介護の社会保障制度の維持です。アメリカのように、公的な社会保険制度がない国もありますが、わが国では、そういうわけにはいきません。私の基本的な考えは、13年前とほとんど変わっていません。より一層深刻になっているのは、その財源問題です。
「年金・医療・介護といった社会保険制度は、国民の皆様に支払っていただいた保険料だけでは運営できず、膨大な税金を投入している」という厳しい現実を直視しなければならないのです。平成27年度の国家予算では、年金・医療・介護の社会保険に対して、23兆円(年金に約11兆円、医療に9兆4000億円、介護に2兆6000億円)が投入されています。これは、全体の一般歳出の40%弱であり、圧倒的に大きなシェアを占めています。ちなみに、公共事業費は6兆円、地方交付税は15兆5000億円です。
このままでは、年金・医療・介護制度は潰れてしまう。税金の投入をやめればどうなるか。保険料を2倍近く値上げするか、給付を半分に減らさなければならないのです。それゆえに、年金・医療・介護、そして子育ての4分野の目的税として消費税を充て、安定財源を確保しなければならないのです。それが、「社会保障と税の一体改革」の考え方でありました。
さらに、安定財源の確保だけでは十分ではありません。高齢社会のセーフティーネットとしての年金・医療・介護の社会保険制度を統合して、「総合社会保険制度(仮称)」を創設して、安定した年金・医療・介護を実現しなければならないのです。その制度の完成には50年近くの年月を要することとなるでしょう。一貫した姿勢で地道な政策の推進が求められるのです。
消費税を福祉目的税に!そして、名称変更を!
公的社会保険(年金・医療・介護)に対して、膨大な税金が投入されていることは、専門家を除くほとんどの国民の皆さんには理解されていません。それは、皆が、保険料を毎月払っていただいているので、その保険料によって賄われていると条件反射的に考えてしまうからです。その現実を国民の皆さんが理解し、社会保障の目的税としての消費税という意識が徹底しなければ、財源問題は解消しません。当然、今のように、名目だけの目的税ではなく、名実ともに目的税にすることと、それにふさわしい「年金・医療・介護システムの改革」が伴わなければならないのです。
ともかく、「消費に課税するから消費税」ではなく、「年金・医療・介護に使うから年金・医療税」というように、目的税としてふさわしい名称に変更することによって、意識改革を行わなければなりません。単に名称を変えるだけのことではないかと思われるかもしれませんが、「名は体を表す」と言われるように、名称の変更は大きな影響を与えると確信しています。それゆえに、財政当局は、その名称変更に強い抵抗を示すのです。
私は、かつて、衆議院の予算委員会(平成24年5月17日)でそのことを指摘しましたが、当時は政権政党の幹部であったので、追及を穏便に済ましてしまいました。今となっては、反省しています。その内容は、参考に掲載させていただきます。
軽減税率の導入
平成29年4月の消費税10%への引き上げと同時に、軽減税率の導入が議論になっています。現在私が所属している民主党は、その軽減税率には反対していますが、私の個人的な主張は、賛成です。
その理由は、年金・医療・介護の社会保険制度を維持するための目的税とすれば、将来的には、その税率が10%で納まるはずはないからです。制度の在り方にもよりますが、このままでいけば20%を大きく上回ることが当然予測されます。であるならば、食料品をはじめ生活必需品にそれほどの高い税率を課すことはできないと思っています。俗にいう「ぜいたく品」には高い税率、生活必需品には低い税率といった税体系にしなければならないと考えています。ゆえに、なおさら、目的税としての名称変更も必要だということになります。高額所得者の方には、社会のために、より多くの負担をおねがいすることになるのです。