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私の主張:日々の気づきや、アイデアなどを政治・経済にかかわらず樽床伸二の考えを綴って参ります。

「平成30年度国家予算」を考える②
「平成30年度国家予算」を考える①
【緊急対談】vs村井嘉浩(宮城県知事)
「省エネ大国・日本」を目指して!
「格差の拡大」は、国を滅ぼす!
~「働き方改革」から20年後を展望する~
『21世紀・日本再生論』(2015・12)-36 政権交代と結果責任
『21世紀・日本再生論』(2015・12)-35 世代交代とは
『21世紀・日本再生論』(2015・12)-34 保守とは?
『21世紀・日本再生論』(2015・12)-33 消費税を、「年金・医療税」に!‐Ⅱ
『21世紀・日本再生論』(2015・12)-32 消費税を、「年金・医療税」に!
『21世紀・日本再生論』(2015・12)-31 憲法改正は加憲方式で
『21世紀・日本再生論』(2015・12)-30 地球温暖化問題は、未来への責任
『21世紀・日本再生論』(2015・12)-29 新時代のエネルギー戦略
『21世紀・日本再生論』(2015・12)-28 日本経済の構造は激変した‐Ⅲ
『21世紀・日本再生論』(2015・12)-27 日本経済の構造は激変した‐Ⅱ
『21世紀・日本再生論』(2015・12)-26 日本経済の構造は激変した
『21世紀・日本再生論』(2015・12)-25 人口減少社会という新しい時代の中Ⅱ
『21世紀・日本再生論』(2015・12)-24 人口減少社会という新しい時代の中で
『21世紀・日本再生論』(2015・12)-23 地域主権型道州制」の実現は、大阪から

『21世紀・日本再生論』(2015・12)-33 消費税を、「年金・医療税」に!‐Ⅱ

『21世紀・日本再生論』(2015・12)-33


消費税を、「年金・医療税」に!‐Ⅱ

参 考
平成24年5月17日、衆議院予算委員会での質疑(文語体に変更しています)

○樽床委員 私は、民主党で、全国各地で車座集会を行う「明日への責任」対話運動本部の本部長をしています。この間、国民の皆さん方のさまざまな声を聞いてきました。その中で感じるのは、高齢社会であるから消費税は必要だと、何となくの理解は進んでいるが、今回の一体改革についていまだ賛成の方の方が少ない、これが現実だということです。つまり、しっかりとした理解が進んでいない。それが私の結論です。よって、この場におられる皆さんなら当然知っている事が国民の皆さん方に理解されていない、というギャップをどう埋めるのかを、国民の皆さんの目線で質問したいと思います。私はこれが政治の責任だと思っています。
評論家の方は理論を言えばいいわけでありますが、政治に携わる者は、それを理解してもらって実行しなければなりません。ここが決定的に政治の重要性ということになりますので、その観点から、幾点かにつきまして質問をいたします。
まず、先ほど前原政調会長の質問にもありましたが、約90兆の国家予算の中で、何と26兆円以上、その中でも、一般歳出と言われる、国債費と地方交付税を除いて普通に使えるという感覚の予算の半分以上が、小宮山大臣が担当されておられる社会保障関係費であります。これはぶっちぎりな割合です。ちょっと表現が余りにも……(発言する者あり)わかりやすかったですか。ありがとうございます。野党の皆さんからも御理解をいただきました。……ちなみに……。(発言する者あり)そういうことです。……今、5年以上前からというお話がありましたが。私の認識でいくと、30年前から予想されていたことであります。このことがほとんど理解されていないのです。
税金の無駄遣いの象徴のように言われる公共事業は、90兆円のうちの5兆円にもなっていません。つまり、公共事業の6倍近い税金が社会保障関係費に使われている。この現実について、厚生労働大臣、少し説明をいただきたいと思います。

○小宮山国務大臣 樽床委員が言われるように、確かに、社会保障制度、いろいろ複雑だということもありまして、なかなか御理解が得られない。それを御理解いただくために、政府も今、担当大臣で、対話集会を全国でやっています。そういう中で、私も、御理解をいただくため、丁寧な説明が必要だという実感は持っています。
そして、お尋ねですが、年金、医療、介護は、社会保険の仕組みで運営されていますけれども、低所得者の方の負担が高くならないように、また持続可能なものにするように、社会保険料だけではなくて税負担による公費も組み合わせてこれは成り立っています。
平成24年度予算では、国は社会保障におよそ26.4兆円の公費を支出することになっていますけれども、そのうち、年金、医療、介護でおよそ八割を占めています。また、国の歳出全体から国債費と地方交付税交付金などを除いた平成24年度の一般歳出は、およそ51.2兆円ですが、そのうち社会保障が占める割合がおよそ52%、年金、医療、介護が占める割合はそのうちの、全体のですけれども、およそ41%、同じことを言っていますが、大体8割が年金、医療、介護で、全体の歳出の半分を超える額を社会保障に使っているというのが現状です。

○樽床委員 小宮山大臣、今大変重要な話をされました。これは、先ほど言いましたように、役所の方、また国会議員の我々は当然ながら認識していることですが、この割合の大きさというものを実は国民の皆さん方にしっかりと説明していない、ここに実は最大の問題があると思っています。先ほど言われましたように、社会保障関係費と言われている政府の歳出項目の中の8割が年金と医療と介護という社会保険に対する税金投入である、これが現実です。
ここで、一応、大臣の口から、例えば年金に対して、そして医療に対して、介護に対して、今年度の予算の中で幾ら税金が投入されているのか、お答えください。

○小宮山国務大臣 全体のうち、年金に対しては8兆2765億円、そして医療に対しては10兆2442億円、そして介護に対して2兆3392億円投じているということです。

○樽床委員 済みません、単純な質問をいたしまして。
実は、今言われた数字は交付国債の2.5兆円が入っていないと思っていますので、もっと増えるわけです。ざくっと言いますと、年金に対して国の税金は年間10兆円投入されている、これが現実です。医療保険に対しては10兆円も投入されています。介護に対しても2兆3000億円投入されている、この現実があります。
この現実を知っている方は、私の認識ではほとんどおられない、つまり世の中で少数派であるという認識を持っています。(発言する者あり)……伊吹先生はよく御存じのことだろうと思いますが、多くの国民の方はそのことを理解されていません。私はそう確信しています。
なぜ理解されていないか。それは保険制度という形をとっているからであると思います。保険といえば財源は保険料、公共事業といえば財源は税金、これは条件反射のように我々の頭に入ってきます。公共事業の財源は税金以外に普通あり得ない。しかし、公的な社会保険であっても、保険という名称で、国民の皆さん方は、保険料を毎月毎月払っていただいています。国民の皆さん方が保険料を払っておられなかったら、また違うイメージができるかもわかりませんが、実際払っていただいているのですから、自分が保険料を払っていれば、当然その保険料でその制度は運営されているというふうに思うのが普通です。そう思わない人は、よほど奇特な方か、極端に頭のいい方ではないかと思います。
その中で、大臣、どうですか。年金の分野に限定して質問をしますが、「国民年金」、「厚生年金」、「共済年金」、我々は普通この3つの年金制度を言葉として使っています。それぞれの年金、つまり国民年金に対して、そして厚生年金に対して、共済年金に対して、税金投入の割合は何%なのか、お答えいただきたいと思います。

○小宮山国務大臣 公的な年金制度、これは、全国民共通の1階部分の国民年金制度、それから、被用者を対象にした2階部分の厚生年金、共済年金制度で成り立っています。ですから、自営業者などは、定額の国民年金の保険料を払って、65歳から老齢基礎年金を受け取ることになります。一方、厚生年金、共済年金の加入者は、一階部分の基礎年金に必要な費用も含めて厚生年金、共済年金の保険料を支払っていて、65歳以上は、2階部分としての厚生年金、共済年金とともに1階部分の老齢基礎年金を受け取ることになります。この1階部分の国民年金制度から支給される基礎年金、これは現在、その費用の半額が税で賄われていまして、残りが保険料で賄われている。そういう意味では、全国民の皆様の基礎的な、基礎年金の部分の1/2は税で賄っているということです。
これを、少し具体的な事例も含めてわかりやすく説明せよということでございます。(樽床委員「短く」と呼ぶ)よろしいですか、ここまでで。

○樽床委員 大臣、わかりにくいんです、はっきり言いまして。今の説明で、私も理解に苦しむというのが正直なところでして……(発言する者あり)そういうことです。今、自民党の応援がありまして、言葉が難しい、こういう御発言がございました。まさにそのとおりだと思っております。
国民年金の場合の国庫負担の割合は1/2です、先ほどおっしゃいました。そして厚生年金、そしてさらには共済年金。先ほど年金制度の仕組みをいろいろ説明されましたが、これはほとんど理解されていない仕組みですので、それをここで説明されても国民の皆さん方はわからない、ということになります。
ですから、私なりの表現で言いますと、厚生年金と共済年金に入っていると認識されている方のモデルケース、夫婦2人で子供2人とかそういうモデルケース、そして平均年収等々を考えて、モデルケースの方ではじきますと、私の認識では、厚生年金と共済年金の国庫負担は約3割、ほぼ30%だというふうに思います。
繰り返し言いますが、国民年金は1/2、つまり50%、そして厚生年金は30%、そして共済年金は30%、これが税金投入、公費負担の割合である。私はそう認識していますが、いかがですか。

○小宮山国務大臣 今委員がおっしゃったとおりです、
割合からすれば。40年入っていたとしますと、国民年金の場合は、およそ6万5500円、その半分の3万2750円、これが税で賄われているので、1/2が税ということになります。それから、厚生年金に加入してきた方は、厚生年金、およそ10万円、これが支給されていますので、そのうち税で賄われる3万円余りということですから、これが1/3ということで、おっしゃるとおりです。

○樽床委員 私の試算が正しかった、こういうことでありますが……(発言する者あり)当然おわかりいただいていることですよ。この場の皆さんは知っておられますが、国民の皆さんは御存じないのです。今の……(発言する者あり)いや、これはわかっていないのです。わかっていないのが普通だと私は思っています。後で説明をいたします。
いいですか、大臣。今の表現を、今度は受け取る側の立場から見てみます。国民の皆さん方は保険料を払っておられるので、「自分が払った保険料で年金制度が維持されている。厚生年金の方は、自分が払った保険料に会社が事業主負担として同じ分の負担をして、それを合わせて、その財源で年金制度が維持されている。」というイメージをお持ちなのです。
そのイメージされているとおりに、税金投入がされていないと仮定します。要するに、税金を投入しないで保険料だけで年金制度を運営したとしたらどうなるか。国民年金に加入されている方の今もらっておられる給付は、半分になるということです。厚生年金、共済年金の方は、税金投入がなければ給付は七割に減るということです。3割なくなってしまうということです。
そこの減ってしまうところを、税金で埋めているという全体のフレームの理解が進んでいない、だからいくら説明してもストンと心の中には落ちない。基本の、前提の現状を理解いただく努力が政府の側に余りにも少ないのではないか、私はそのように思っています。
(小宮山国務大臣「1つ訂正させていただけますか」と呼ぶ)
 訂正があるらしいですから、どうぞ。

○小宮山国務大臣 樽床委員の説得力のあるお話で、ちょっと私が1部間違えましたので、おわびして訂正をさせていただきたいと思います。
 厚生年金につきましては、10万円というのは厚生年金で、そのほかに満額の基礎年金6万5500円がありますので、16万円余りのうちの3万円でありますから、厚生年金の場合は、税金が入っている割合は1/3ではなくて1/5です。申しわけありませんでした。

○樽床委員 私はモデルケースと申し上げました。老齢基礎年金と言われるものは奥様にも払われているということで考えますと、実は3割になる。私はそういう計算をしています。奥様も入れて計算をすると3割だということでよろしいですね。
(小宮山国務大臣「はい」と呼ぶ)
御理解をいただきました。
 要は、この事実を理解していただいていないその最大の理由の一つ、全てとは言いませんが、政府の説明です。政府は当然説明しているつもりであると思っているでしょう。「基礎年金の国庫負担は1/2である」という言葉によって、今まで私が延々と話をしました実情を説明していると思っているのです。しかし、これは霞ヶ関・永田町の論理だと思います。
ここで、厚生労働大臣、さらに安住大臣にも少し、正直にお答えいただきたいと思います。日々の暮らしの中で「基礎年金」という単語を使われたことがあるのでしょうか。

○安住国務大臣 もらっている方は、多分ないと思います。ですから、厚生年金や共済年金や国民年金のほかに基礎年金というのがあるのかということを聞かれることはあるわけです。ですから、今のような御質問だと思いますが。
基礎年金というのは、7000万人近い方々がお入りになる、いわば共済年金、厚生年金、それに国民年金の基礎をなす部分、全ての人たちにこれは当てはまります。この部分の中にさらに、樽床代行のお話から言えば、厚生年金や共済年金の場合はこれにまた上乗せ部分があります。私ども国会議員の場合は国民年金ですから、この基礎年金のところです。40年払って、この6万5000円満額もらえば、その半分が税金の負担です。
ですから、厚生年金や共済年金と同じような基礎年金制度があるのではなくて、基礎の年金の部分、誰もがもらうことのできる基礎の年金の部分だというふうな言葉遣いにしなければならないと思います。

○小宮山国務大臣 樽床委員のように、今現役で保険料をお支払いの方は、国民年金、厚生年金、共済年金と、保険料を支払う側はそういう形でなじみのある言い方だと思います。基礎年金を受け取っておられる側、受給者の側にはこの基礎年金という言葉を御存じの方は多いかと思いますが、おっしゃるように、わかりにくいという御指摘は承りまして、どのようにしたらもっとわかりやすく表現できるかは、またお知恵もいただきながら検討させていただきたいと思います。

○樽床委員 まさに、基礎年金の説明は、今お2人の大臣から御説明があったとおりなんですね。
私は、少し下世話な質問をしたかもわかりませんが、「大臣は自分の暮らしで、基礎年金という単語を日常生活で使われたことがありますか」と聞いたわけです。少なくとも、自分自身のことを正直に言いますと、私は自分の暮らしで基礎年金という単語を使ったことはありません。そして、これは私だけかなと思って、我が党の幹部の中で最も年金制度に詳しいだろうと私が勝手に思っています城島国対委員長に、……私が思っているわけですからお許しいただきたいのですが(発言する者あり)いや、それはそうかもわかりませんが……(発言する者あり)いやいや、不規則発言が多いので申しわけないのですが。……
きのう城島国対委員長に聞いたんです。「日々の暮らしで基礎年金という単語を使ったことがありますか」と。「使ったことはない」とはっきり言われました。私は、それが普通だと思います。普通の国民の方は、もらっておられる方も含めて、基礎年金という単語を日々の暮らしで使われることはほとんどない。ほとんど使われない単語を使って説明をして理解されると思いますか。厚労大臣、どうですか。

○小宮山国務大臣 御指摘は、少なくとも、いろいろな方ともお話を非常にされている樽床委員からの御指摘ですので、重く受けとめさせていただきたいと思いますが、その3つの年金制度の基礎に入っているものを、では何と言ったらいいのか、そこのお知恵もいただければと思いますので、御指摘はしっかりと受けとめさせていただいて、少しでもわかりやすく説明ができるように工夫はしていきたいと思っています。

○樽床委員 国民年金に入っておられる方について一番わかりやすい説明というのは、シンプルです。基礎年金とは国民年金のことです、こう言えばいいのです。基礎年金と言っていますが、これは国民年金ですと。これが国民年金の方には最もわかりやすい。
ですから、厚生年金と共済年金の方に対してどういう説明をするのかは、ぜひ政府の方でお考えいただいて、年金に対していかに税金投入がされているのかを説明していただきたいと思っています。実は医療も同じです。医療のことを説明しだすと時間がなくなりますから、今日は省略しますが、国民年金の方には、「国民年金の半分は税金です」、という説明をしっかりしていただきたいと思っています。
次に、今回の一体改革の基本の的考え方を一言で言えば、社会保障、つまり年金と医療と介護、そして子育て、この4つの目的税として消費税を充てるということが、結論であります。しかし、国民の皆さんは、それが何となくわからなくて、消費税を足らない財源の穴埋めに使うのではないか、というイメージを持っておられると思います。
私は7年前に小泉郵政選挙で落選しました。その後4年間、浪人生活をしましたが、その間、当時の自民党と公明党政権下で、消費税の議論が行われたことを覚えています。私はこの場にはいませんでした。大阪の地元で日々活動をしていました。その時、10数年間国会に籍を置かせていただいた私ですら、財源の穴埋めにというイメージをプンプン感じたのです。落選して地元に帰って、そこで見ていると、そういうイメージがやはりありました。
大蔵省から財務省に変わった中でも事務局は全然変わっていませんから、長い過去のイメージが、今、野田政権にもそのまま引き継がれています。「消費税」という言葉で。消費税という、一度その言葉に張りついたイメージを、よほどしっかりと変えなければ、そのイメージを引きずっているのです。民主党政権になったからといって、多くの国民の皆さん方のイメージがそれだけで変わることはないのです。しかも、財務省はずっと同じですから。だからそのイメージは変わらないのです。
総理は、多くの閣僚の方の中で唯一違う経験をされています。それは、私と同じように任期の途中で落選をした経験です。落選中に国民の皆さん方の声をしっかり聞いて、そしてまた国会に帰って来た。その経緯をお持ちであるので、国民の皆さん方の思いをしっかりと受けとめることができるのではないでしょうか。他の方にできないと言っているわけではないのですが。
確かに、今回の消費税の法案のフレームの中では、消費税は年金と医療と介護と子育て、この4つに使うと書いてありますが、イメージは払拭できていません。特に、この中でもぶっちぎりでその額が多いのは、年金と医療です。であるならば、消費税を、正式名称は消費税でもいいのですが、略称として、最も財源の額が多い年金と医療という2つの言葉を使って、消費税、略称は「年金・医療税」とする方が説明ができるのではないか。このことに対して、役人の皆さん方は、「いやいや、そういういいかげんなことをしてはいけない」と言われるかもしれない。しかし、「ガソリン税」ってみんな使っていますね。政府も「ガソリン税」という単語を使ってペーパーを作っています。マスコミもガソリン税という言い方を普通に使っています。その「ガソリン税」は略称です。正式名称は、揮発油税プラス地方揮発油税です。既に、地方分も入れて揮発油税のことを「ガソリン税」と言っているのです。もう例があるのです。であるならば、「年金・医療税」という言葉を使いながら、わかりやすくきちっとそこに使われると説明すべきであると思います。社会保障の強化であると言っても、わからないのですよ。強化とか安定、そういう言葉よりも、名称を使った方がはるかにわかりやすい、理解をいただきやすいと私は思いますが、総理、お考えはいかがでしょうか。

○野田内閣総理大臣 樽床委員御指摘のとおり、今回の一体改革では、従来の高齢者3経費、医療、年金、介護に加えて少子化対策、この4つ、全て社会保障に使い道を限定する、消費税を御負担いただく分は全て社会保障に使うということをしっかりと説明していかなければいけないと思います。もう形として、法律として、また予算上もそういう形でやっていくわけですから、明確に国民の皆様にお伝えしていかなければいけないと思います。
その国民の御理解をいただくために、略称として、今、「年金・医療税」という御指摘がございました。これは、国民の皆様と接して、何としても御理解をいただきたいという樽床さんのパッションのあらわれの御提起だと思います。ただ、私は、国民福祉税と言った時もありました。それで理解が進んだかというと、決してそうではなかったことも記憶をしています。丁寧な説明と、略称というのは、むしろ、いろいろな議論をしながら、みんなでだんだん共有してきた言葉が自然と定着をすると思いますので、何回か御提起をいただくうちに賛同者も出てくるかもしれません。そういう状況を見ながら、ぜひ判断をさせていただきたいと思います。

○樽床委員 我々が略称で使い始めれば自然に定着する、こういう総理の御意見で、もっとその略称を使え、こういう励ましをいただいたと受けとめさせていただきたいと思います。前原政調会長が言った特別勘定というやり方もありますが、さまざまなやり方で、目的税であることをはっきりとわかるようにすべきです。名は体を表すと昔から言いますので、全く中身と違う名前をつけても、なかなか人には理解されないのです。やはり中身と名前が一致して初めて理解が進む、私はそう認識していますので、ぜひ前向きな御検討をお願いいたします。
大臣、何か御意見があるようですが。

○安住国務大臣 この消費税という名前は、多分、支払っていただく側が消費をしていただく側という意味で消費税です。樽床代行の御主張は、これをどういうふうな財源に使うかという、使う側の目的に沿った名前にした方が、払いがいのある税になるのではないか、浸透するのではないか、という御指摘だと思います。現にそうした例は、例えば電源開発促進税、それから、以前でいえば地方道路税など、はまさにそうだという御指摘だと思います。
消費税は、ある意味では、いい悪いは別にして、浸透はしています。ただ、これをどのように使うかということは、今回、目的税化をさせていただきます。平成11年から総則できちっとうたっていますけれども、そうした点では1つのアイデアでありますので、国民の皆さんに使い方がわかるような工夫は考えていきたいと思っています。

○樽床委員 さすが頭脳明晰な安住大臣、ありがとうございます。そのとおりでして、要は、ポイントは、目的税になるということです。目的税にするから名前のことも考える余地があると私は思っています。年金・医療の分野に目的税として消費税を充てることは、私の30年来の持論でしたので、ぜひそういうことが定着するようにお願い申し上げます。今回の政府の方針も全く同じ考え方に立つと思っていますので、政治の役割は、単に説明することだけではなくて、理解をいただいて実行することだということをくれぐれも肝に銘じて取り組んでいただきたいと思っています。
もう1点、この目的税ということについて整理をしておかなければならないと思っています。かつて、目的税というと、財源のあり方が硬直化する、財政の構造が硬直化するという意見がかねてからありました。私は、これは間違いだと思っています。目的税で硬直化するのではなくて、必要でなくなったときにやめないから硬直化するのです。つまり、これは目的税の問題ではなくて政治の問題です。必要な時につくり、必要でなくなったらやめる、ということをしてこなかった政治の責任です。硬直化の原因を、目的税そのものに帰することはできない、と私は思っています。
今日、予算委員会での審議が始まりましたが、本会議での審議の中で、我が党の古本議員の方から、かつての道路特定財源、先ほど言いましたガソリン税についての話がありました。高度成長期に入っていく前に、我が国の中で道路整備がいかに重要であったか、その重要な施策は、お金がたくさんかかる、その財源を目的税として手当てをしたと。これは、あの当時においては、大変すばらしい施策であったと思っています。そのことによって、道路の普及がどんどんどんどん進んでいった。しかし、例えば、高速道路の普及率がゼロのときと6割になったときとで同じ発想でいいはずがないわけで、それを同じ発想でやってきたということに問題があったと私は整理しています。
よって、一言で言えば、その時代時代において非常に重要な施策であって、なおかつ財源がたくさんかかる、こういう項目について、目的税をそこに導入することは最もいい考え方であると私は思っています。そういうことについて、そして、さらにもう1点申し上げると、この年金と医療と介護、子育てもそうですが、広く国民の皆さんに関係する施策です。皆が同じスピードで年齢を重ねていきます。病気にかからない人はいません。そう考えると、このような、現時点で23兆円ものの財源を使い、かつほとんどの人に関係する施策に対しては、薄く広く負担をしていただくという考え方から、消費税がこの分野の目的税にはふさわしいのではないか、と思っています。
この2つの視点に対しての御見解をお伺いします。

○安住国務大臣 樽床代行のお話を少し私なりに解釈させていただきますと、例えば、昨年、自公民の御協力で、復興特別所得税、復興特別法人税という形で、25年間、所得税については一定の割合を目的税として復興に充てることに賛同いただきました。
今、国民の皆さんは、所得税をお支払いいただいて、その分の一定の割合は復興に充たっているんだなということをイメージしていただいていると思います。そこに私は、納税者と私どもの関係がしっかりわかるというメリットはあると思います。
ただ、御指摘のように、この目的税の中には、時代を過ぎたにもかかわらず、いわば既得権化したものもあり、行き過ぎであったという御指摘はごもっともあります。今回のこの社会保障に関しては、そうした点から言えば、あえて私が申し上げますと、財務省が勝手に何かに使うのではありません。これは、お預かりしたものは年金、医療、介護、また少子化対策等にそのまま使わせていただきます。そのことをしっかりと私は国民の皆さんにわかっていただければ、払うたびに、ああ、おばあちゃんの年金に行くんだな、払っていただくたびに、ああ、これは医療に行くんだなという気持ちになっていただくように私どもとしては一生懸命心がけていきたいし、また制度についても、そういう制度にしていきたいと思っています。

○樽床委員 時間になりましたが、大臣、今、最後に言われたことは大変重要です。今払った消費税が、私の父親の、母親の年金に行っている。今払っている消費税が、私が風邪をひいたら、病院に行ったらその支払いに回っているんだ、と、国民の皆さんすべてに御理解いただければ、全く議論は変わってくると思います。どうか、そうなるようにぜひとも御努力をいただきたいと思います。
最後に、総理、1点だけ申し上げさせていただきます。
社会保障にかかわる給付と負担の割合は、総理も私も昭和30年代の生まれでありますが、我々の世代はほとんど払った額ともらう額がトントンであると昔から言われていました。我々よりも上の世代になればなるほど、払った分よりももらう方が多い。我々よりも下の世代になればなるほど、払った分はもう返ってこない。ドンドンそうなっていく。たまたま昭和30年代前半という時に生まれた我々は、ちょうどトントンの世代です。と言うことは、上の世代も下の世代も、両方をしっかり見据えて、ただ若い人のためだけではなく、お年寄りの方のためだけでもなく、両方のバランスをしっかりとって物事を進めていって国を安定させていかねばならない世代に生まれた責任が総理にはあると思います。最後に、一言、決意をお伺いします。

○野田内閣総理大臣 樽床さんの最後の御質問で、極めて本質的なことだと思いますが、今回の一体改革は公平感というのが1つのキーワードだとい思っています。世代間の公平、これは、負担と給付をにらみながら、現役世代が負担中心、高齢者が給付の中心だったものを、もっと変えていこうというのが今回の改革の一つの内容であります。もう1つ、世代内の公平もありますが、公平が1つの鍵になる考え方でありますので、この点はしっかりと国民の皆様に御説明をしながら、我々の責任世代としての役割を果たしていきたいと思います。

○樽床委員 ありがとうございました

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