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~「働き方改革」から20年後を展望する~

「高齢社会」を「生涯現役社会」に変える
―可能であれば、意志があれば、70~80歳でも現役で活躍!―
「働き方改革」が、大きなテーマとなり、長時間労働の是正、同一労働同一賃金の実現が2本柱となっています。私は、さらに20年後を展望し、「生涯現役社会」の実現を目指すべきだと考えます。
「生涯現役社会」とは、“仕事の量やペースは落とすものの、可能であれば意志があれば、70~80歳でも現役で活躍する”社会です。慣習的な一律的定年制(多くは60歳、延長して65歳)ではなく、企業によっては定年がなかったり、定年年齢もその企業の判断で様々(例えば70歳、75歳等など、逆に40歳、50歳といったことも可能になる)であったりする多様な働き方のある社会です。一人ひとりに体力の個人差や価値観・人生設計・過去の経験の違いがありますので、働き方にも違いがあってもいいのではないでしょうか。
ここで、総務省「平成27年国勢調査抽出速報集計結果」から分析すると、55歳時点で働いていた男性の約半数(52%)の方が68歳まで働いていること、さらに、70歳で43%、75歳で27%の方が働いていることがわかります。別の民間の調査では、男性の77%が定年後も働くことを望んでいるようです。
また、2015年時点で、中小企業(30~99人)の約10%は定年制を定めていないが、1000人以上の大企業は、99.7%が定年制(うち90%以上が60歳)を定めています。大企業ほど定年制があり、定年も早いのです。組織の大きい大企業は、働く人の新陳代謝のために、定年制が必要なのかもしれません。
諸外国を見てみると、アメリカ、カナダ、オーストラリアでは定年制度がなくイギリスは2011年に定年制度を廃止しました。ちなみに、イギリスでは、何歳まででも働ける権利が得られて喜ばしいと考える人と、国は年金も支給せずに高齢まで働かせるのかと反発する人と、二つに意見が分かれるようです。
日本の平均寿命は世界のトップクラスです。そして、戦後の65年の間に、平均寿命は20~25歳伸びました。そのことを、「老後の時間の拡大」ではなく、「人生の実働時間が長くなった」と考えるべきです。
さらに、長寿番組「サザエさん」は、私たちが15歳は若くなったことを証明しています。特に、サザエさんのお父さんは54歳、今の私(57歳)よりも若いのです。私にすれば、いくら何でも!と感じます。どう見ても70歳ぐらいには見えます。
私は、多くの60歳代の方々がバイタリティーに溢れ、社会を支えていく元気を持っておられると確信しています。趣味やボランティアも大事ですが、働くことは素晴らしいことだと思います。一律の定年年齢で引退するのではなく、働く意志のある人は年齢に関係なく働くことができる社会。そのことが、一人ひとりの、そして社会全体の元気を高めていくと信じています。
一方で、若い人の雇用を妨げることがあってはいけません。未来を担う若い世代の雇用を奪ってしまえば社会の活力はなくなります。また、「生涯現役社会」は社会のあらゆるシステム、さらに一人ひとりの発想・人生設計・働き方、また企業の雇用システムに変更の必要性をもたらします。それゆえ、今後20年かけて「生涯現役社会」へ移行していかなければ混乱を生んでしまいます。
楽観的な意見だと思われる方もおられるでしょう。「収入を得るために仕方なく働いているんだ」と言われる方もおられるでしょう。しかし、「高齢社会」をマイナス的にとらえるのではなく、「高齢社会を生涯現役社会に変えていく」というプラス発想の中でこそ、活力ある高齢社会が創られると信じています。
最後に、もう一言。「生涯現役社会」はこれまでの大企業中心の経済秩序、経済構造から、我が国の事業所数の99%を占める中小零細企業を中心とした経済秩序、経済構造へと転換するきっかけとなり、この転換が地域経済の活性化を通して、日本経済の活力を作りだすと思っております 。
*このテーマについては賛否両論があると思います。是非とも、様々なご意見をお寄せ下さい。